足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

酒井抱一「白蓮図」

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花弁を大きく広げ、今しも散り落ちそうな蓮の花。
その白さはどこか浮世離れしており
重力のない世界でたゆたっているようにも感じられます。
酒井抱一「白蓮図」。
鎮魂にも似た、静かなる一枚です。


酒井抱一「白蓮図」
White Lotus
Sakai Hoitsu




ちょっと前に読んだ
宮本輝の「海岸列車」という小説のなかに、
蓮の花について興味深いことが書かれていました。


他の花は、散ってから実が成るのに、
蓮だけは花と実が同時に成長する。



原因と結果とが同時に存在する、
蓮の花はその象徴なのだそうです。
このことから、蓮の花は仏教において尊いものとされるのだとか。
酒井抱一の「白蓮図」をよく見ると、
左下にかすかにつぼみが見てとれます。
咲くと同時に実がこぼれ、新たなつぼみをつける……
抱一はそれを描こうとしたのでしょうか。


そして小説ではこう続きます。


何かを為そうとすれば、まず決意しなければならない。
強く決意した瞬間、結果はすでにそこにある。
ただそれは形としてまだ見えないだけだ。



仏教でいうところの「因果倶時」ですね。
そして泥中から茎を伸ばし、見事な花を咲かせる蓮ですが
それもまた魂の浄化であったり輪廻であったり
救いのようなものを感じさせるのです。


我が人生をかえりみるに
とてもとても華々しいとはいえず
ときに泥中を這うような気持ちになることもありますが、
この蓮の花のように
清明であれたらな、と思います。
そして白い花があたえてくれた種を
強い意志でもって育てなければならないと
この時期になると思うのです。
怠惰な自分に活を入れて、がんばらねば。





今日も明日もがんばろう。
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2 Comments

(イアン) says..."人生の裏表"
ハスの実は美味しいですね。
その下のレンコンも民間薬では相当有効な働きをしています。
泥の中で生きて行くのですから、自己防衛も有るのでしょうかね。
最近ですが、朝の床で昔の出来事を思い出す事が多くなりました。
特に自分では不本意で忘れたい事です。
私の人生は何だったのか?とも思います。
これって何か有るのでしょうかね?
例えば寿命が尽きるのが真近で死神に周りをウロウロされているとか?(笑)
2013.07.25 18:46 | URL | #- [edit]
スエスエ201 says..."Re: 人生の裏表"
> イアンさん

こんばんは。
そう考えるとレンコンもありがたい食べ物なのですねぇ。
昔の不本意なこと、ぼくもよく夢に出たりしますよ。
死神のいたずらですかね〜(笑)
2013.07.26 03:55 | URL | #- [edit]

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