足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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井上安治「東京真画名所図解 銀座通夜景」

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最後の浮世絵師とも呼ばれ、
明治の光と影を木版画に閉じ込めた小林清親。
彼には井上安治という、若い弟子がいました。
齢26で没した、夭逝の天才画家です。


井上安治「東京真画名所図解 銀座通夜景」
Night View of Ginza Dori(1882-87)
Inoue Yasuji




清親と安治の出会いは明治11年の雪の日。
綾瀬川の土手でスケッチをしていた清親を
安治は2時間あまりもじっと見続け、
その熱心さに清親が声をかけたのが始まりでした。
以来、安治は師風を学び、またたく間に頭角をあらわします。
17歳という若さでデビューした安治の作風は
清親のコピーのようでもありますが、
そこには清親の包み込むような暖かさ、詩情とはまた違った
静かな感傷が潜んでいるように感じます。
新時代の歓びや躍動感はあまり感じられず
むしろ失われていくものに後ろ髪をひかれ、
所在なく立ち尽くすような。
そして時折ひらきなおって笑みをこぼすような。

井上安治「新吉原の景」
井上安治「新吉原の景」。デビュー作のうちの1点。


井上安治「本所御蔵橋」
井上安治「本所御蔵橋」。その明るさが、なぜかさびしい。




江戸風俗研究家・漫画家の杉浦日向子は
安治への憧憬を綴った「YASUJI東京」という著作のなかで
清親と安治のちがいを以下のように表現しています。


安治は師風をよく継承したが
清親の迫りくる感傷とは別の
ぽっかりと突き抜けた東京を描いた。



時をこえて、ぽっかりと開いた窓。
見たことがない風景のはずなのに、
なつかしく静かに心動かされるのはなぜでしょうか。





あはれ我がノスタルジヤは
金のごと
心に照れり清くしみらに



安治から遅れること22年、岩手に生まれた歌人に石川啄木がいますが
彼もまた、26歳という若さで亡くなっています。
安治の作品を見ると、なぜかこの歌を思い出すんですよね。






今日も明日もがんばろう。
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