藤城清治「小さな恋」
鬼怒川温泉への旅行、2日目は那須までドライブして、
今年6月にオープンしたばかりの藤城清治美術館へ行ってきました。
日本が誇る影絵作家の、光と夢の空間です。
Little Love
Fujishiro Seiji
まずはお気に入りの作品「小さな恋」から。
猫の立会人をあいだに挟んで、
幼い2人は結婚式のまねごとをしているんでしょうか。
スズランやチューリップ、パンジーなどがかわいらしく咲き、
チョウチョやテントウムシが祝福するかのように舞い、
おなじみの妖精が2人のために音楽を奏でています。
男の子の帽子のうえでは愛らしく口づけを交わす小鳥たち。
微笑ましく愛おしい作品です。
美術館の敷地は予想以上に広く、
瓦屋根の門をくぐって森の小径を歩いていくと
左手に教会が見えてきます。
小さな小さな祈りの場所では
藤城清治がデザインしたステンドグラスが
あざやかな光をたたえていました。
ここで結婚式を挙げることもできるのだそうです。
きっと妖精たちが祝福してくれるんでしょうね。
森のなかに静かにたたずむ教会。ステンドグラスが美しい。
本館の入り口。紅白の猫さんがお出迎え。
そして美術館本館は、外から見た印象よりもはるかに広く
作品展数もかなりのもの。
迷路のようなつくりでおとぎ話の世界に迷い込んだ気持ちになります。
水彩画に始まり、西遊記などのモノクロ影絵から
おなじみの妖精たちが遊び回るカラーの影絵まで
夢のような作品の数々。
影絵作家だけに、こっそり床に猫の足跡を映し出したりといったサービスも。
また、聖書に材を取った連作「聖フランシスコ」や
東日本大震災の被災地をテーマにした作品群など
ただ美しいだけでなく、考えさせられる作品もたくさんありました。
圧巻は「長岡の花火」という作品。
水面にはLEDの灯籠が浮かび、
合わせ鏡の無限の空間に色鮮やかな大輪の花火と
揺れる灯籠の光が連続していきます。
同じ手法の作品は他にも2点ほどありましたが、
色彩が爆発したような花火の数々に圧倒されて
やはりこの作品が強く心に刻まれました。
こんな感じで藤城清治美術館、
時間がいくらあっても足りないくらいの濃密な空間でした。
外に出ると木漏れ日がきらきらと降り注ぎ、
たくさんの葉っぱが織り成すグラデーションもまた
影絵の延長のように感じられて。
ふと見渡せば道のあちこちで、
影絵の世界から飛び出してきたキャラクターが
案内をしてくれるのもご愛嬌。
夕暮れ時だとまた違った楽しさがあるかもしれません。
猫さんが道案内。
今日も明日もがんばろう。
![]() | 藤城清治 光と影の世界 (2012/04/06) 藤城 清治 商品詳細を見る |
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