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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

ピカソ「女の顔」

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ジャクリーヌ・ロック。
ピカソが最後に愛した女性として知られており、
その年齢差は44歳だったというから驚きです。


ピカソ「女の顔」
Portrait of Jacqueline(1962)
Pablo Picasso




こちらはピカソの版画「女の顔」。
モデルはジャクリーヌで、このとき既に2人は結婚しているんですが
何だかあまり幸せそうには見えないんですよね。
涙をこらえて顔を歪めているように見えてしまう。
あるいは口をとがらして、画家を非難しているみたいです。
キュビスムは簡単に言えば多視点の統合なんでしょうけど
この作品は壊れたまんま、という印象を受けてしまいます。
有名な「泣く女」に比べればおとなしいものですが、
それでもあまり楽しい作品には見えません。


女性に対してはひどく支配的で多情だったピカソですが、
ジャクリーヌとの生活はとても穏やかであったといいます。
彼女は献身的に老齢の画家を支えた……はずですが、実際はどうだったか。
西岡文彦の「恋愛美術館」では、こんな風に書かれています。


先妻オルガの死により2番目の正妻となった彼女は、
老巨匠の番人としてすべての面会や文通をきびしく制限。
ピカソと関わった女性達とその子供や孫は、
ピカソの拒絶や極貧に耐えざるを得ぬ生活に追いやられることになる。
その元凶は番人となったジャクリーヌであり、
彼女をその任につけたピカソであった。



ピカソの滅茶苦茶な恋愛遍歴を考えると、
ジャクリーヌの過剰な防衛本能も分からないでもないのですが
それで不幸になった人たちも多くいたわけで。
(そもそも2人の結婚はある女性の不幸のうえに成り立っています。ここでは割愛)
他人には理解できないような愛のかたちもあるでしょうし
ここで2人の生き方を批判するのも意味のないことですが、
なんともはや、芸術家というものは業が深く
それを支える相手も普通ではいられないのか、と。
ピカソの死後、ジャクリーヌは後を追って拳銃で自殺してしまうのですが
いやはやなんとも……。




今回ご紹介した「女の顔」は、
渋谷のパルコミュージアム「ピカソ 愛と芸術の版画展」で展示されていました。
スペインが誇る20世紀最大の画家、パブロ・ピカソの没後40年を記念し、
膨大な版画作品のなかから男女をテーマにした作品や女性の肖像作品を中心に
およそ60点を展示するというものです。
会期は明日(8月19日)まで、
その後仙台、名古屋、札幌に巡回します。
ピカソの版画ということで理解不能なものもかなり多いですが
はっと目が覚めるような、言語に絶するような作品もあり
見ておいて損はないと思います。入場料安いですし(笑)




今日も明日もがんばろう。
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2 Comments

イアン says...""
これに良く似たピカソの絵を模写したのですが・・・
あ~~最悪~~
途中で止めました~(笑)
ピカソの絵は簡単そうで、奥が深いですね~

今日から専門学校が始まりました。
明日からもまた頑張ります~~
2013.08.20 00:08 | URL | #- [edit]
スエスエ201 says..."Re: タイトルなし"
> イアンさん

こんばんは。
ピカソを模写しようとするだけでも尊敬です(笑)
絵の苦手な自分には、とてもとても手が出せない存在です
2013.08.20 23:28 | URL | #- [edit]

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