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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

森徹山「松に鶴図屏風」(プライスコレクション展より)

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仙台市博物館からはじまり、岩手県立美術館、福島県立美術館と巡回した
「プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」。
展覧会名には「若冲が来てくれました」ともあって、
やはり見どころはこれまで紹介してきた伊藤若冲なんですが
他にも円山応挙や長澤蘆雪、曾我蕭白、酒井抱一、鈴木其一などなど
江戸絵画を代表する絵師達の作品が来日しています。
そのなかでもひときわ印象に残ったのが、森徹山の「松に鶴図屏風」でした。


森徹山「松に鶴図屏風」
Myriad Cranes and Pine trees(19th century)
Mori Tetsuzan




左隻(上図)には数えきれぬほどの鶴たちが、
海を越えて飛来する様子が描かれています。
そして右隻には堂々たる松の大樹が配され、
その後ろにもたくさんの鶴が優雅に舞っています。
制作途中で作者が亡くなってしまったため
見て分かる通り未完の大作なんですが、
それがかえって幻想的に思えて……。
被災地の方々は、この屏風をどんな思いで見つめたのだろうと、
プライス夫妻はどんな思いでこの屏風を持ってきたのだろうと、
いろいろ考えてしまいました。
2006年のプライスコレクション展でもこの作品は来日してるので、
深い意味はないのかもしれないけれど。。


森徹山「松に鶴図屏風」2




これとは別に、プライス夫妻が福島のためだけに海を越えて持ってきた作品が
円山応挙の孫、円山応震の「麦稲図屏風」という作品でした。
青々と天に向かって伸びる麦とを右隻に、
実りの時期を迎えて頭をたれる茶褐色の稲を左隻に配し、
春の麦にはヒバリを、秋の稲にはスズメを合わせて
たくましい生命力と豊穣の喜びを描いた素晴らしい作品。
他の会場では展示しなかったそうで、しかもガラスケースなしでの特別展示。
講演会でこの話を聞いたときは、さすがに少しウルッと来てしまいました。


いよいよプライスコレクション展も、残すところあとわずか。
23日がラストですので、まだの方は是非に!
万難を排してでも見に行くべき展覧会です。
ぼくももう一度見に行きたいくらい。ほんとに。




今日も明日もがんばろう。
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(2013/03/01)
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