酒井抱一「夏秋草図屏風」(東博、秋の特別公開)
ひさびさに、東京国立博物館に行ってきました。
秋の特別公開ということで、9月29日まで
東博秘蔵の国宝・重文の一部が展示されているのです。
そして秋にふさわしい作品といえば……
やはりこれしかないでしょう。
酒井抱一「夏秋草図屏風」です。
Screens of Summer and Autumn Grasses(19th century)
Sakai Hoitsu
前にも紹介しましたが、あらためて。
本作はもともと、尾形光琳「風神雷神図屏風」の裏面に描かれたもの。
よって、雷神の裏側(右隻)には驟雨に打たれる夏草が、
風神の裏側(左隻)には強風にさらされた秋草といった形で
表裏対応するつくりになっています。
右隻の右上にはいわゆる光琳水がながれ、
雨滴の重みでしなだれた草葉が白百合の花を覆い隠しています。
こんなふうに花が描かれるのって、あまりないような気がするんですよね。
いっぽう左隻では、宙に舞う蔦の紅葉が風の強さを思わせます。
うしろに風神様がひかえているわけですから、よほどの強風なのでしょう。
けれどこの屏風の前にじっと立っていると、不思議と心が澄んでいくんですね。
描かれているのはあるがままの自然で、そこに自分が溶け込んでいくような。
ちなみに「夏秋草図屏風」の下絵が出光美術館にあるんですが、
こちらも清明で侘び寂びを思わせる出来映えです。
一度、完成品と並べて展示してほしいなぁと思うんですよね。
もちろん裏には、尾形光琳の「風神雷神図屏風」をば……。
そして光琳の「風神雷神図屏風」、オリジナルは俵屋宗達なんですが
これがなんと、来年3月に東博で公開となります。
本場の京都・建仁寺でもなかなかお目にかかれない至宝です。
展覧会名は「栄西と建仁寺」。楽しみですね♪
そうそう、東博では抱一の「四季花鳥図巻(下巻)」も展示してます。
「夏秋草図屏風」の凛とした佇まいからは一転して、
非常に愛らしい、心ときめく作品です。
東博のサイトでこの作品のアンケートを行っていますので、
興味のあるかたは是非。
アンケートはこちら。(9月29日まで)
今日も明日もがんばろう。
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