レオナール・フジタ「誕生日」
藤田嗣治、レオナール・フジタといえば
モディリアーニやキスリングなどエコール・ド・パリの画家たちと交流し
陶磁器のような乳白色の裸婦像や、やんちゃそうな猫の絵で有名です。
第二次大戦中に戦争画を書いたことで責任を問われ、
傷心のままにフランスへ戻り、洗礼を受けてレオナール・フジタの名に。
その後、パリでフジタが多く描いたのが子どもを主題とした作品でした。
Birthday(1958)
Léonard Foujita
こちらは「誕生日」という作品。
大きな丸テーブルを11人の子どもたちが囲んでいますが、
まぁ子どもですから落ち着きがなく、
早くケーキを食べさせて! みたいな声が聞こえてきそう。
窓の向こうを見ると、ここにも子どもたちが
うらやましそうに(うらめしそうに)顔をのぞかせています。
あまり仲が良くないから呼ばれなかったのか、人数的な問題なのか、
それとも貧富の差のせいなのか……。
外が真っ暗でどうやら夜のようなので、
そんな時間に自由に出歩けるというのは
逆に恵まれない境遇の子どもであるようにも思えます。
室内の子どもたちの顔も、素直にかわいらしいとは言いがたく
無邪気さのなかに大人びた表情を隠していて、どうにも奇妙。
フジタが描く子どもってみんなこんな感じで、
そのアンバランスさゆえに一度見たら忘れられないんですね。
ただ単に子どもたちの情景を描きたかったのか、
それともそこに、何かしらの意味を込めていたのでしょうか。
と、難しいことはこのくらいにして。
いま、Bunkamura ザ・ミュージアムで「レオナール・フジタ展」をやってます。
ポーラ美術館の所蔵作品を中心に、
「モンパルナスのフジタ — 『素晴らしき乳白色』の誕生」
「フジタの子どもたち — アトリエのなかの物語」
「小さな職人たち — フランスへの讃歌」
という3つのブロックで構成。
「誕生日」のような子どもを主題にした作品がとても多くて、
特に連作「小さな職人たち」は
フランスのさまざまな職人に子どもが扮するユニークな作品。
社会性を感じさせる部分もあるけど、
思わずくすりと笑みがこぼれてしまいます。
ちょっと前に富士美術館でもフジタが子どもを描いた作品を見たんですが、
それをさらにスケールアップしたような内容でした。
会期は10月14日まで。親子連れで見に行くのもいいかもですね♪
左:監視員、右:煙突掃除人。
今日も明日もがんばろう。
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