足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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仙がい「指月布袋画賛」

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それは布袋が天を指差し、
子供が嬉しそうにその指を見つめている様子が、
ポンチ絵のような単純な線で描かれたものだった。
(中略)
『指月布袋画賛』と呼ばれる絵は、
後に仙がいの代表作として世に知られることになる。
禅宗の教えでは「月」とは悟りのことで、それを示す「指」は経典である。
そのころの鐵造はそんなものは知らなかったが、
その絵に魅了され、晩年にいたるまで仙がいを追い求めることになる。

(百田尚樹「海賊とよばれた男」より)


仙がい「指月布袋画賛」
Hotei Pointing at the Moon
Sengai





江戸時代・臨済宗の禅僧、仙がい義梵(「がい」は「涯」からサンズイを取った漢字)。
美濃国に生まれ、出家、諸国行脚の後39歳のときに博多へ。
還暦を過ぎて隠居生活を送るようになってから
禅画によって庶民に禅の教えを広めることに専心し、
残した書画は2000点にものぼります。
「月指布袋画賛」は彼の代表作で、出光美術館の所蔵。
百田尚樹の小説「海賊とよばれた男」の主人公が
出光興産の創業者をモデルにしており、
彼が最初に手にした古美術品がこの「月指布袋画賛」だったのだそうです。
つまり、出光美術館のコレクションの第1号ということですね。


作品は実に実にゆるやかでのんびりした印象。
でっぷり太った布袋様が天に向かって指を差し、
隣の子どもはおしりを突き出して
やんややんやと踊っているような素振りです。
月はどこにも見当たりませんが、
月が悟りを意味するならば、描かれていないのは当然かもしれません。
いくら布袋様が月を指差しても、人々はその指を見てしまう。
指(経典)にとらわれていると月(悟り)は見えませんよ、と。
絵を見るぼくたちもついつい布袋様の指に目がいってしまうので、
みごと仙がいさんに一杯食わされたわけです(笑)


左上の賛には、「を月様幾ツ、十三七ツ」と書かれています。
十三夜の七つ時(4時ごろ)の月、
つまりのぼったばかりでまだ若いという意味のわらべ歌にちなんでいます。
悟りを開くに若いのは仙がい自身か、
それともこの禅画を受け取った人なのか。
賛に深い意味があるのかどうか分かりませんが、
禅を説くのにわらべ歌を使うあたりが仙がいさんの素晴らしさです。


今回ご紹介した「指月布袋画賛」は、
出光美術館で開催中の「仙がいと禅の世界」で展示されています。
ゆるくてありがたい禅画のなかには、
前述の「海賊とよばれた男」に出てくるもう1点の作品、「双鶴画賛」も。
石油を武器に世界と戦った男の熱〜い物語を読んだあとは、
彼が愛した仙がいさんのゆる〜い禅画を見ることをオススメします♪




今日も明日もがんばろう。
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海賊とよばれた男 上海賊とよばれた男 上
(2012/07/12)
百田 尚樹

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