ムンク「サン・クルーのセーヌ川」
この速度でいいのかと
自問することもあるけれど、
いつか教えてもらったとおり
ときどき立ち止まりながら
ゆっくり歩いています。
The Seine at St. Cloud(1890)
Edvard Munch
つれない世路を僕は歩いていました、
痛々しいほど不安な気持で。
親切なあなたの手が、道しるべになってくれました。
青ざめてほんのりと遠い地平に
夜あけの希望がほの見えていました。
あなたのまなざしが朝でした。
自分の高鳴る足音以外
旅人を鼓舞するものとてなかったのでした。
その時あなたの声が言ってくれた、「もっとお歩きなさい」と。
内気な僕の心、沈みがちな僕の心が、
さびしい道でひとり泣いていました、
嬉しい征服者、恋愛が来て
よろこびのうちに二人を結びつけてくれました。
(ヴェルレーヌ「つれない世路を」)
昨晩は逆風(さかかぜ)が吹き荒れて、
今夜は静かな秋の夜。
なんとなくヴェルレーヌの「秋の歌」を思い出し、
パラパラと詩集をめくっていたら
「つれない世路を」という詩にたどり着きました。
あなたのまなざしが朝でした。
あなたの手が、道しるべになってくれました。
だから、もっと歩こうと思います。
今日も明日もがんばろう。
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