国宝・志野茶碗「卯花墻」
昨日(日曜)も結局仕事だったんですが、
さすがにそろそろリフレッシュしないとまずいなーと思い
午前中、えいやっと美術館に行ってきました。
約20日ぶりの鑑賞ということで、選んだのは三井記念美術館。
お目当ては国宝「卯花墻」です。
画像だとなんだか渋くて朴訥とした印象ですが、
実物は全然ちがうのですよ。
志野焼ならではの白い肌は光を受けてしっとりと輝き、
火照ったような発色がなんとも艶かしくて。
歪な造型もまた、快楽に身をまかせているかのようで。
こんな見方はあれかもしれませんが、
要するにエロいな〜と思った次第です。
「卯花墻」という銘は、独特の色合い(釉景色)が
垣根に咲く卯の花のようであることから。
内箱蓋裏の小色紙には以下の和歌が認められるそうです。
「やまさとのうのはなかきのなかつみち ゆきふみわけしここちこそすれ」
漢字にすると「山郷の卯花墻の中津道 雪踏み分けし心地こそすれ」でしょうか?
卯の花。4月の別名「卯月」はこの花による。
志野焼は安土桃山時代に焼かれた美濃焼の一種。
美濃地方独特の白土を使い、多くは釉下に文様が描かれています。
焼成中に発した火色が各所にぼうっと浮かび、
白と赤、茶の取り合わせがなんとも美しいのです。
鉄分によって文字通り真っ赤な色合いの紅志野や、
宮本輝の小説「水のかたち」に登場する鼠志野といった種類も。
三井記念美術館の展示では、
こうした志野焼が数えきれないくらい展示されていて
それはもう、夢心地だったのであります。
左:鼠志野鶺鴒文鉢 右:志野万年青香合
展覧会ではこのほか、
黄瀬戸、瀬戸黒、織部といった桃山時代に美濃で焼かれた名陶が並び
それぞれに違った味わいがあり、
焼物はずぶの素人ながら十二分に楽しめました。
苔のように緑がにじむ黄瀬戸も見事なら、
一見無骨で大胆ながら、実は繊細な瀬戸黒もまた見事。
織部は……あまり好きではないけど、香合はかわいらしくて良かったかな。
さて、久々に茶陶の名品を堪能したのでありますが、
こうなればあと2か所、なんとかまわらねばなりません。
三井記念美術館のほかに五島美術館、根津美術館でも
この秋に茶陶にまつわる展覧会を予定しており、
「茶陶三昧 三館めぐり」と称する3館合同キャンペーンを行っているのです。
いずれかの半券を持っていれば入場料が100円引きになり、
さらに3館すべての半券で、各館の次回展の招待券がもらえるそうです。
それぞれの展覧会の情報は、以下の通り。
根津・五島は庭園も素敵なので、紅葉も楽しめそうですね♪
■三井記念美術館
「国宝『卯花墻』と桃山の名陶 −志野・黄瀬戸・瀬戸黒・織部−」
9月10日〜11月24日
■五島美術館
「光悦 −桃山の古典(クラシック)」
10月26日〜12月1日
■根津美術館
「井戸茶碗 −戦国武将があこがれたうつわ−」
11月2日〜12月15日
今日も明日もがんばろう。
- 関連記事