フェルメール「デルフト眺望」
ちょっと前に、オランダに関する仕事をしました。
レンブラントやフェルメールが生まれた国。
そこに想いをはせるとき、頭に浮かぶのは「デルフト眺望」です。
プルーストは黄色い壁(屋根)に見せられたそうだけど
ぼくはこの空の広さに、雲の量感に惹かれてしまいます。
大柄なオランダ人が心細いほど小さくうつる、この空の偉大さよ。
いつかこの地に立てたらなぁと、しみじみ思いながら。
View of Delft(1660-61)
Johannes Vermeer
あてどないさすらいは、青春の喜びだ。
青春とともに、その喜びも色あせた。
それ以来、目あてと意志とを自覚すると、
私はその場を去った。
ただ目的だけをせわしく求める目には、
さすらいの甘さはついに味わわれない。
森も流れも、あらゆる途上で待っている
一切の壮観も、閉ざされたままだ。
これからはさらに旅を味得しなければならない、
瞬間のけがれない輝きが、
あこがれの星の前でも薄れることのないように。
旅の秘術は、世界の輪舞の中に加わって
共に動き、憩うている時にも、
愛する遠いかなたへ向って、途上にあることだ。
(ヘルマン・ヘッセ「旅の秘術」)
さて。
今日は仕事の前に大田区郷土博物館の川瀬巴水展に行こうと思ったんですが、
本を読みながら電車に乗っていたせいで行き先を派手に間違えて
気がついたら羽田国際線ターミナル駅におりました。
ぼんやりと飛行機を眺めて、ぼんやりと曇りがちな空を見上げて。
何をやってるんだかなぁ。
今日も明日もがんばろう。
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