足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

モネ「睡蓮の池」(地中美術館)

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3週間前に京都で立ち寄った大山崎山荘美術館。
大正から昭和初期にかけて建てられた洋館を本館とし、
そこに増設されたコンクリート打ち放しの建物が
安藤忠雄による「地中の宝石箱」です。
半地下の円柱型の構造で、モネの睡蓮などの絵画が展示されています。
その8年後、2004年に瀬戸内海の直島に誕生したのが地中美術館。
同じく安藤忠雄の設計で、「地中の宝石箱」をさらに深化させたような美術館です。
いつか行ってみたいと思っていた夢の場所を、ついに訪れてまいりました。


モネ「睡蓮の池」(地中美術館)




こちらは地中美術館を代表する作品、モネの「睡蓮の池」。
白内障をわずらった最晩年にモネが手がけた、2×6mの大作です。
壁には砂漆喰が塗られ、額縁と床には白い大理石を使用。
これらは白の背景を好んだモネにならったものです。
天上からは自然光が降り注ぎ、作品をやさしく照らし出します。
白い小箱のような空間の正面に「睡蓮の池」が、左右にやはり睡蓮が2点ずつ配され、
あたかも池のほとりにたたずんだような、そんな錯覚にとらわれます。



モネは晩年に「睡蓮の池」のような大装飾画のための建築プランを構想しており、
フランスのオランジュリー美術館がモネの没後、この構想にしたがって
睡蓮の連作を展示すべく整備されたのは有名な話です。
地中美術館もまた、モネの睡蓮のためにつくられた美術館。
荒れ果てた直島をよみがえらせるべく、
ベネッセ(元・福武書店)の福武總一郎氏が
1980年代後半から着手したアートプロジェクトの一環として建てられました。

地中美術館、地中の庭   地中美術館の入り口
左:モネが愛したの睡蓮の池にちなんでつくられた「地中の庭」。
右:コンクリート打ち放しの入り口。




島の景観を邪魔しないように建物は地中に埋められ、
モネの「睡蓮」のほか、ジェームズ・タレルとウォルター・デ・マリアという
2人の現代アーティストの作品が展示されています。
どちらの作品も安藤忠雄がつくりだした光の空間に調和しており、
特にジェームズ・タレルの「オープン・スカイ」「オープン・フィールド」は圧巻でした。
「オープン・スカイ」は小部屋の天井に正方形の穴をあけ、空を切り取るというもの。
時間帯によってそこから見える空の色も変化していくわけですが、
それに応じて壁の色もLEDで染めていき、光の変化を楽しめるのだそうです。
ぼくが見たときは午後2時頃、小部屋から見上げた青空には雲ひとつなく、
地中にいるというよりも空に浮いているような気持ちにとらわれました。
もうひとつの「オープン・フィールド」も光を使った魔法のような作品なんですが、
これは事前の知識なしで体験したほうがいいと思います。
光のただなかに佇むあの感覚は、なんとも形容しがたいですし。


迷路のようにぐるぐると、コンクリートの通路を歩き、
光の作品に心を奪われ、たどりつくのが「地中カフェ」。
地中美術館で唯一、海を見渡せる場所です。
自然光をたくみに取り入れているとはいえ、
それまでずっとコンクリートの空間にいたわけですから
ここで目にする眺望はまた格別です。
正直に言ってしまうと、作品よりも建築よりも、
ここからの眺めがいちばん素敵でした。

地中美術館からの眺め
地中カフェから、瀬戸内海をのぞむ。



よく考えてみれば、地中美術館に展示されている作品はわずか9点なんですよね。
普通の美術館だったらあっという間に見終わって
物足りない気分になってしまうんでしょうけど、
地中美術館での体験は鮮烈で、いつまでも光の余韻が残っていました。
大山崎山荘美術館の記憶があたらしいうちに見ることができたのは、
とても幸運だったと思います。






今日も明日もがんばろう。
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