足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

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下村観山「小倉山」

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今日は大田区立郷土博物館の「川瀬巴水展」(中期)を見て、
そのあとぶらっと横浜へ。
横浜美術館の「下村観山展」を見てまいりました。


  下村観山「小倉山」右隻

下村観山「小倉山」左隻
Mt. Ogura(1909)
Shimomura Kanzan




こちらは下村観山「小倉山」。
鬱蒼たる秋の木立に一人腰をおろすのは、
平安時代の貴族・藤原忠平。
彼が詠んだ「小倉山 峰のもみぢ葉 心あらば 今ひとたびの 御幸待たなむ」
という和歌を絵にあらわしたものだそうです。
小倉山の峰の紅葉よ、もし心があるのなら、
帝がもう一度ここを訪れるまで散らずにいておくれ……。
画中の歌人は帝の再訪を思っているのか、
それとも歌を練っているのでしょうか。
2年前に描かれた代表作「木の間の秋」同様、
木の幹を丁寧に描き分けて遠近感を出しており、
江戸琳派と写実を組み合わせたような表現に
鮮やかな色彩が散りばめられています。

下村観山「木の間の秋」
下村観山「木の間の秋」。後期展示で見られます。


観山の「小倉山」は横浜美術館を代表する作品で、
過去に所蔵作品のなかで「私が選んだこの1枚」を募集したところ
みごと第1位に選ばれ、同館のカフェの名称も小倉山に決まったのだとか。
展覧会では、この作品と合わせて墨画の下絵も展示されていました。
樹木の配置などに変更が見られるほか、
元々は左隻左下の木に小鳥がとまっていたのを
本画では場所を変えて、リスに置きかえています。
さて、リスはどこにいるのか。
ぜひ会場で探してみましょう。



観山は明治はじめに能楽師の家系に生まれ、
10代前半で狩野芳崖、橋本雅邦に師事し
若くして才能を認められるように。
そして東京美術学校に第一期生として入学し、
岡倉天心のもと、横山大観や菱田春草とともに学びます。
やがて同校の助教授となるも、天心を排斥しようとする騒動を受けて辞職し
天心や大観、春草らとともに日本美術院の創立に参画。
1903年には文部省の命でイギリスに留学し、
西洋画の真髄に触れることとなります。


ちなみにこの前年の12月まで、
同じく文部省に命じられてイギリスに滞在していたのが
前回もちらっとご紹介した夏目漱石だったりします。
もう少しだけ時期がずれていれば
イギリスで2人が出会っていた可能性もあるわけですね。
残念ながらそうはなりませんでしたが、
観山も漱石と同じようにラファエル前派に惹かれ、
エヴァレット・ミレイの作品を模写しています。
油絵で描かれたものを、絹本に水彩でうつした作品は
今回の展覧会でも展示されていましたが、
鎧兜の表現など舌を巻くほどの出来映えで
当時イギリス人を驚かせたというのも納得でした。

下村観山「ナイト・エラント」(ミレイの模写)
観山によるミレイ「ナイト・エラント」の模写。



横浜美術館の「下村観山展」では、
こうした観山の歩みを追いかけるように
10代のころの作品から晩年、そして絶筆に至るまでの作品を集めています。
会期は来年2月11日まで。1月10日より後期展示にうつり、
「木の間の秋」などの代表作がお目見えします。
ちなみに来年9月からは、盟友・菱田春草の回顧展が
東京国立近代美術館で予定されています。
こちらも楽しみですね♪



それにしても……
この時期の横浜は、幸せオーラが渦巻いていて恐ろしい。
飛んで火にいるなんとやらで、
いたたまれなくなって早々に退散しました(笑)




今日も明日もがんばろう。
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