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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

シャヴァンヌ「海辺の乙女たち」

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先日、Bunkamuraの「シャヴァンヌ展」を見てまいりました。
シャヴァンヌは19世紀後半、フランスで活躍した偉大なる壁画家です。
その色彩はフレスコ画にも似ていて、穏やかで叙情的。
まずはこちら、「海辺の乙女たち」という作品を。


シャヴァンヌ「海辺の乙女たち」
Young Girls by the Seaside(c.1879)
Pierre Puvis de Chavannes




三者三様、おのおのの世界に浸る半裸の女性たち。
彼女たちは「目覚め」「期待」「自己回帰」をあらわすという説もあるそうです。
海辺というより、海面からやや離れた岩場のようにも見えますね。
こちらに背を向けて髪をくしけずる女性は、水平線の向こうに何を思うのでしょうか。
そして物憂げな表情で横たわる2人の女性。
気怠さのなかに官能があり、けれど退廃とはまた違う。
永遠ともいえる時間のなかで、夢想とともに生きているような。
アルカディア(理想郷)での生活はえてしてこういうものなのかもしれません。


シャヴァンヌが多く手がけたのは美術館など公共建築の壁画でした。
オスマン男爵によってパリの大改造が行われ、多くの建築が生まれた時代。
パリが変貌を遂げるなかで壁画の需要は大きかったのです。
一方で晋仏戦争やパリ・コミューンによる被害も受けており、
こうしたなかでシャヴァンヌが描こうとしたのが「アルカディア」であり、
人々もまた、そうした作品世界を求めていたのでしょうか。

シャヴァンヌ「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」
シャヴァンヌ「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」



19世紀最大の壁画家とも称され、
ゴッホやスーラ、ナビ派の画家たちに影響を与えたシャヴァンヌですが
彼は壁画を縮小させた油彩画や素描を多く残しており、
それらをもとに日本初となる回顧展が実現しました。
この貴重な空間で、詩情に満ちた世界にひたる至福のひととき……。
なかには大原美術館の「幻想」もあり、久々の再会に胸が高鳴りました。
会期は3月9日(日)まで。その後、島根県立美術館に巡回します。


ちなみにこの日は寝不足なうえに少しお酒が入っていて
コンディションがよろしくなくてですね。。。
映像コーナーで椅子にすわったらスヤスヤ眠ってしまいました。
これもまた、アルカディアの心持ち……。
美術館で寝ちゃだめですね。ごめんなさい。



■Bunkamura「シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア」の公式サイトはこちら
■シャヴァンヌの作品一覧はこちら





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