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足立区綾瀬美術館 annex

東京近郊の美術館・展覧会を紹介してます。 絵画作品にときどき文学や音楽、映画などもからめて。

講談社野間記念館の『十二ヶ月図の世界展』を見てきました

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四季折々の風情を、
十二ヶ月の風物を、小さな色紙に切り取る。
近代日本画家たちによる、愛らしく興趣つきない作品の数々を
講談社野間記念館で見てまいりました。
「十二ヶ月図の世界展」という展覧会です。
最終日にぎりぎり滑り込みでしたが、すばらしい内容だったのでご紹介。


小茂田青樹「十二ヶ月図」



チラシのメインビジュアルとして使われているのは
小茂田青樹の十二ヶ月図。
右上から順に
一月「薮柑子」 二月「月に梅」 三月「桃に川原ひわ」 四月「たんぽぽに土筆」
五月「苺」 六月「子燕」 七月「虫籠」 八月「鮒」
九月「粟に蟷螂」 十月「椎茸にこほろき」 十一月「紅葉に黄ひたき」 十二月「みそさざい」
となります。


青樹の場合はいずれも金色紙に可愛らしい情趣が込められていますが、
30センチ四方よりやや小さいくらいの色紙に描かれた世界は
画家によって実にさまざまな表情を見せてくれます。
たとえば川端龍子なら、大作の一部を切り取ったような勢いのある筆致。
伊東深水なら12点すべて美人画でそろえてきますし、
福田平八郎なら今しも小鳥たちが歌い出しそうな軽快な雰囲気。
鏑木清方は肩の力が抜けていて、さらっと軽妙な仕上がりです。
こうした各人各様の十二ヶ月図を見比べるのもことに面白く、
このほか山口蓬春、徳岡神泉、上村松篁、小杉放菴、山本春挙などなど
実に豪華な顔ぶれでした。


大正末から昭和初期にかけて講談社では9冊の雑誌を刊行しており、
表紙で季節感を伝えるためにすぐれた原画を収集していたそうで、
当代の日本画家たちに十二ヶ月図をもとめたとのこと。
その成果は実に6000点にものぼるそうで、
今回の展覧会で見ることができたのはそのごく一部ということになります。
う〜む、すごい。うらやましい。
ちなみに、ぼくが一番惚れ込んだのは福田豊四郎という画家の十二ヶ月図でした。
秋田出身の日本画家で川端龍子や土田麦僊に学んだそうで、
非常に朴訥とした、心地よい作風が印象的でした。
どうやら前衛的な作品も手がけていたようで気になるところ。
過去の展覧会図録とかあったら買ってしまいそうです。。



講談社野間記念館へ行くのは、今回がはじめてでした。
護国寺駅で下りて、徒歩10分くらいでしょうか。
東京カテドラル聖マリア大聖堂の向いに位置し、
近くには永青文庫や椿山荘が。
椿山荘は無料で庭園に入れるので、
次は天気のいいときにこの周辺を散策したいと思います。


野間記念館から見た大聖堂
野間記念館から仰ぎ見た大聖堂。





今日も明日もがんばろう。
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2 Comments

なつみ says..."いつから"
あぁ~この展覧会は是非見てみたかったです。いつから開催されていたのでしょうか?
2014.03.05 22:45 | URL | #- [edit]
スエスエ201 says..."Re: いつから"
> なつみさん

今年のはじめくらいからみたいです。
ぼくももっと早くに見に行けばよかったな〜と。
また同じような展覧会やってくれるといいんですけどね。
2014.03.09 01:58 | URL | #- [edit]

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