クノップフ「エドモン・クノップフの肖像」
一昨日行った「アントワープ王立美術館コレクション展」、
個人的な一番のお目当てはフェルナン・クノップフでした。
展示作品は1つだけだったけど、
なるほどなるほどと感心しきりの作品でした。
Portrait of Edmond Khnopff(1881)
Fernand Khnopff
1881年ごろの作品、「エドモン・クノップフの肖像」。
画家本人の自画像と思われていたものの、
現在ではクノップフの父親を描いたものとされているそうです。
椅子の背もたれに体を預けているのか、
リラックスした姿勢で正面を見つめる中年男性。
唇を引き結んだ知的な表情と意志の強そうな瞳は、
王立裁判所の検事を努めたという経歴のあらわれでしょうか。
クノップフ自身、法学部へ進んだものの中退した経歴があり、
偉大なる父親に対してさまざまな思いが去来していたのかもしれません。
純粋なる尊崇の念なのか、それとも身を切るような劣等感なのか。
しかし「エドモン・クノップフの肖像」からは
そのような強い感情は読み取れず、
穏やかな諦念と孤独が塗り込められているようにも感じられます。
これはクノップフの肖像画や自画像に共通する特質で、
その顕著な例が代表作「私は私自身に扉を閉ざす」でしょう。
このメランコリックな雰囲気と深い静けさこそが、
クノップフの魅力なのだと思います。
I Lock My Door upon Myself(1891)
Fernand Khnopff
「アントワープ王立美術館コレクション展」の公式サイトはこちら。
展示は10月3日(日)までです。
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