アーサー・ヒューズ「四月の恋」
愛すれば心は軋み苛立痛むもの
愛に漠とした後悔はつきものか
目は無為の涙に濡れながら
無為の習いによってのみわたしたちは結ばれる
愛とはいったい何でしょう、いずれ忘れてしまうものなのに
ああ、いいえ、いいえ
(テニスン「粉屋の娘」より)
April Love(1855-56)
Arthur Hughes
アーサー・ヒューズ「四月の恋」。
イギリスのロイヤル・アカデミー展に出品したとき、
彼は上にあげたテニスンの詩を添えたそうです。
愛とはいったい、何であるか。
画中では、青いドレスの女性の右側に男性の頭が見えます。
そしてよく見れば、2人の手と手は重ねられています。
女性の表情から察するに、2人は周囲から祝福されない間柄なのでしょうか。
足もとには花びらが散り落ちていて、恋の終わりを予感させます。
一方で、男性がいる窓の向こうには、同じ色の花がいきいきと咲き誇っています。
ここにとどまるべきか、それとも男性とともに進むべきか。
決断のときが迫っているのかもしれません。
本作は、森アーツの「ラファエル前派展」で
最初に鑑賞者を迎えてくれる作品です。
悲しげな青に惹かれた人も多いことでしょう。
なんとか終了直前で再訪することができてよかった。
素晴らしい展覧会を実現してくださったことに感謝します。
今日も明日もがんばろう。
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