レーピン「月光」
月のうえに火星がうかぶ
こんな夜は、なんだかさびしくなるものです。
明日は月が燃え上がり
またすこしだけ
心をみだされそうな気がします。
Moonlight(1896)
Ilya Repin
美しいものになら ほほゑむがよい
涙よ いつまでも かわかずにあれ
陽は 大きな景色のあちらに沈みゆき
あのものがなしい 月が燃え立つた
つめたい! 光にかがやかされて
さまよひ歩くかよわい生き者たちよ
己(おれ)は どこに住むのだらう——答へておくれ
夜に それとも昼に またうすらあかりに?
己は 嘗てだれであつたのだらう?
(誰でもなく 誰でもいい 誰か——)
己は 恋する人の影を失つたきりだ
ふみくだかれてもあれ 己のやさしかつた望み
己はただ眠るであらう 眠りのなかに
遺された一つの憧憬に溶けいるために
(立原道造「溢れひたす闇に」)
今日も明日もがんばろう。
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