中村芳中「白梅小禽図屏風」
江戸時代後期の琳派の絵師といえば酒井抱一や鈴木其一の名前が浮かびますが、
同じころに大阪から江戸へ下り、「光琳画譜」を出版した中村芳中という画家がいます。
光琳を慕い、抱一たちとはまた違った世界を切り開いた画家に迫る展覧会が、
千葉市美術館で開催されています。
こちらは中村芳中「白梅小禽図屏風」。
金地を背に白い花を咲かせる梅の木は、
絵の具をにじませるたらし込みといい、簡略化された花弁といい、
なるほど尾形光琳を思わせる様式です。
そして羽を休める小鳥の愛らしさよ。
なんとものどかで、微笑ましい表情をしておられます。
これぞ中村芳中の真骨頂といいますか、
抱一の描く小禽と比べてみると、思わずニヤニヤしてしまいます。
どちらも光琳に惹かれた画家でありながら、こうも違うのかと(笑)
芳中の作品はどことなく仙がいのようなユルさがあって、
それがまた面白いんですよねぇ。
芳中はもともと、筆ではなく指先で絵を描く
「指頭画」で有名だったそうで、
千葉市美術館ではその技法の延長で
煙管や盃、さらに卵の殻で描いた作品も展示されていました。
描くという行為そのものを楽しんでいたから、
自由でのびのびとした作風になったんでしょうか。
そういえば鶴のくちばしが緑だったり、羽が青だったり
非常に斬新な色使いの作品もありました。
琳派好きの方はもちろん、日本画で癒されたい…という方にもおすすめの展覧会です。
会期は5月11日までで、4月22日以降の後期展示で大幅に展示替えがあるとのこと。
そのあと京都の細見美術館、岡山県立美術館に巡回です。
今日も明日もがんばろう。
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